2006年3月31日

景観利益(最判H18.3.30)

  高層マンションが景観を損なっているとして,周辺住民等が建築主に建物の高さ20メートルを超す部分の撤去などを求めた訴訟の上告審判決で,最高裁小法廷は,「良好な景観の恩恵を享受する利益は,法律上の保護に値する」との初判断を示しました。

  もっとも,問題のマンションは「高さを除けば周囲の景観の調和を乱す点は認めがたい」などとして,住民側の上告を棄却しました。

  景観権という権利は法律上明文規定はありませんが,憲法25条(生存権)や憲法13条(幸福追求権)の包括的な人権条項などを根拠に学界などから主張されて来ました。そして,今回最高裁が初めて景観利益が法的に保護される利益で,これが侵害されれば損害賠償請求などが可能だと認めたのです。  

  上記判決は,市街地の景観について「良好な風景として人々の歴史的,文化的環境を形づくり,豊かな生活環境を構成する場合は,客観的価値を有する」とし、「景観利益」は法律上の保護の対象になるとしました。ただこの景観利益が違法に侵害されたかどうかは「利益の性質や内容、侵害行為の態様、程度などを総合考慮して判断すべきだ」としています。  

  景観利益を法的保護の対象としたこの最高裁の判断を受けて,今後益々その侵害からの救済を求める訴訟が増えるでしょう。もっとも,この判決で住民側の主張が退けられたように,建物の外観や形状などの制約は他者の財産権の侵害にもなるので,現実的にどこまで保護されるのかは難しい問題です。具体的内容は今後の判例の集積を待つ必要があるでしょう。

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