2008年7月 8日

投資の社会的責任論

 最近,石油や穀物など生活に影響を与えやすい商品の価格が高騰しているため,心理的には急激な物価高を感じますよね。
 その原因として問題視されるのが,石油や穀物などの商品市場における投機的な取引です。例えば,近年の石油の価格高騰が需要増加に伴うものであることは否定できないとしても,ここまでの高騰の背景には,商品市場に需要をベースとしない投機資金が大量に流れ込んでいることにあることもまた疑いの余地はないことでしょう。このことが世界的なレベルで問題視され,投機資金の規制論が議論となっています。
 ところで,最近は,商品市場に,この需要をベースとしない資金として,投機資金だけでなく,年金基金などの長期投資にもとづく投資資金が流れ込んで来ているようです。今批判されている短期の投機資金は熱が冷めるのも速いでしょうが,年金基金のような長期投資が商品市場に大量に流れ込むと,長期にわたって価格が高止まりすることになり,物価高騰が長期間固定化される恐れがあります。年金基金は,長期投資という性格上,そしてインフレをヘッジしたいという性格上,インフレの原因となりうる商品先物について長期の買いもちをするからです。しかも,年金基金などは,ファンドを通じて取引を行いますから,運用によるリターンがうまく言っていればよいとして,自分たちの行動が引き起こしている人々の痛みに鈍感になっている可能性があります。
 我々が老後に備えて積み立てているお金によってもたらされた物価高騰で我々の生活が苦しめられるというのでは,あまりにも皮肉です。しかも,バブルが崩壊すれば,我々の年金資金はあっという間に失われてしまう危険性を孕んでいるのです。
 これからは,投機資金の規制論のみならず,投資の社会的責任論も大いに議論となりそうです。

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