2013年9月 4日

婚外子相続格差違憲判断(最決H25.9.4)

 本日,結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法第900条第4号ただし書前段が,法の下の平等を保障した憲法に違反するかが争われた2件の家事審判の特別抗告審(家裁,高裁は規定を合憲と判断)で,最高裁は,「子どもは婚外子という立場をみずから選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し,家族の多様化が進むなかで,結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されず,相続を差別する根拠は失われた」と指摘して,「民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反している」との決定を示しました(裁判官14人全員一致の判断)。

 明治時代から続くこの規定について,最高裁は,平成7年には合憲と判断していましたが,欧米諸国では非嫡出子も嫡出子とほとんど同じ法律上の地位が認められるに至っている現状の中,新たな判断を示したものです。ちなみに,最高裁が,法律の規定について憲法違反と判断したのは戦後9件目です。

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2012年2月 2日

パブリシティー権(最判H24.2.2)

 芸能人が雑誌に写真を無断掲載されパブリシティー権を侵害されたとして出版社を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で,最高裁は,「著名人らの氏名や肖像は,顧客を引きつけて商品の販売を促進する場合があり,これを独占的に利用できる権利はパブリシティー権として保護できる」として,このパブリシティー権を「商業的価値に基づく人格権のひとつで,顧客吸引力を排他的に利用する権利」と定義し,法的権利であると判断しました。

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2011年7月23日

欠陥住宅の賠償責任(最判H23.7.21)

 建物に欠陥が見つかった場合,どの程度なら設計・施工業者に対し損害賠償を請求できるかについて,最高裁判所は,「放置すれば居住者の生命,身体,財産を損なう危険が生じる欠陥がある場合は,実際に事故が起きていなくても設計,施工業者に損害賠償を請求できる」との判断を示して,現状では危険がなくても,放置すれば将来的に住人らの生命や身体,財産に危険が生じる程度で足りるとしました。

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2011年7月17日

更新料条項の有効性(最判H23.7.15)

 賃貸住宅の契約で更新料の支払を定めた条項が,消費者への加重な負担を禁じた消費者契約法に照らして無効かどうかが争われた訴訟の上告審判決で,最高裁は,賃料や契約更新期間等に照らし高額すぎるなどの事情がない限り有効と判断しました。

 その考え方の概略は以下のとおりです。

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2008年6月12日

番組内容への期待権(最判H20.6.12)

 取材を受けた特集番組が政治的圧力で改変されたとして民間団体がTV局と制作会社の2社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で,最高裁第1小法廷は,2社に総額200万円の支払いを命じた二審東京高裁判決を破棄しました。本事件は,取材を受けた側の番組内容への期待が,法的に保護すべき権利に当たるかが主な争点でしたが,同小法廷は「原則として法的保護の対象にはならない」との判断を示しました。

 本事件の一,二審とも,番組の放送内容について取材対象者が期待を抱くやむを得ない状況があるとき,この期待は期待権として法的保護に値するとの判断の下,原告側の期待権が侵害されたことを認めていました。

 これに対し,同小法廷は,ごく例外的な場合を除いて,番組内容への期待権は認められないとしました。そして,この期待権が認められる例外的な場合に関して,事実と異なる説明で取材に応じさせ,それにより取材先に大きな負担を掛けたような場合にのみ,成立の余地があるとした上で,さらに,こうした条件を満たしても,説明と違う内容になるやむを得ない事情があったなら,権利侵害には当たらないとしました。結局,このような判断基準によれば,今回のケースでは,原告側に特別の負担は生じず,取材時の説明にも問題はなかったとして,期待権の成立を認めませんでした。

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